「先生、また足のしびれが戻ってきました」
毎年、冬になると、同じ言葉を口にしながら来院される方がいらっしゃいます。冬に悪化して、春に少し楽になって、また冬に戻る——この繰り返しをされている方、心当たりはありませんか。
多くの方が「冷えると悪化する」と経験則で知っています。でもなぜ冷えると神経症状が悪化するのか、正確な説明が意外と少ないのでブログにします。
冷えが神経痛・しびれを悪化させる「3つの連鎖」
①手足の毛細血管が縮んで、血の流れが滞る
体が冷えると、熱を逃がさないために末梢の血管が収縮します。これ自体は正常な反応ですが、手足の隅々まで血液が届かなくなる状態を引き起こします。
②炎症を起こす化学物質が神経を刺激する
血流が低下すると、「ブラジキニン」「セロトニン」といった炎症物質が筋肉に蓄積し始めます。これらが神経を直接刺激するため、しびれや神経痛がひどくなります。
③自律神経が乱れ、痛みに敏感になる
冷えると交感神経(緊張モードの神経)が過剰に働き、痛みの感覚が過敏になります。「普段なら気にならない刺激でも、ズキンと感じてしまう」状態です。冷え性のある方は健常者より交感神経が亢進し、皮膚血流が低下していることは学術論文でも確認されています。
冬だけではない。夏のエアコンも同じ問題を起こしている
「なんで夏もしびれるんでしょう?」
夏は体が熱を発散しやすい状態になっているぶん、エアコンの冷風に長時間さらされると体の芯まで冷えやすくなります。室内外の温度差が6〜8℃以上になると自律神経が混乱するとも言われています。冬は「冷えないように」と意識しますが、夏は油断しがちです。季節を問わず冷やさない習慣が大切です。
放置すると「少し冷えるだけで激痛」になるリスク
繰り返し刺激を受けた神経は、「過敏状態」が固定されることがあります。最初は「冷えると少ししびれる」程度だったものが、「ちょっと冷えただけで激しい痛みが走る」状態に変化していく——これが慢性化のリスクです。「楽になった時期」こそ、対処の最も大切なタイミングです。
今日からできるセルフケア
・入浴は38〜40℃で20分以上(熱すぎるお湯は逆効果)
・腹巻・腰回りの保温で体幹から温める
・夏はブランケットやカーディガンでエアコン冷えを防ぐ
「体質だから仕方ない」と諦める前に
冷えによる神経症状の悪化は、医学的に説明できる連鎖反応です。そして慢性化する前に対処することが、長い目で見た回復への近道になります。
もうすぐ桜も咲き始め、春を迎えます。気温上昇とともに体の巡りも少しずつ回復してきます。あの辛かった冬を越えた今が、体が変わっていくチャンスです。焦らず、一緒に前に進んでいきましょう。









