今年の春ごろ発売されたアトピー性皮膚炎に対しての新薬が重症の患者さんにも効果が出ている事例が発表されています。
一般的にアトピー性皮膚炎の患者さんには抗炎症外用薬やステロイド外用薬が処方されますが、この新薬は初めての生物学的製剤です。
慢性的な皮膚の炎症の主な要因とされる二つのタンパク質の働きを阻害する作用があるため、中等症から重症の皮膚病変の改善に繋がると期待されています。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎はご存知の方も多いと思いますが、遺伝的な要因や環境的要因などで皮膚のバリア機能や免疫調節機能に障害が起き、皮膚の乾燥やかゆみ、紅斑、亀裂、毛細血管の出血などの症状がでます。
症状の重症度は患者さんによって差がありますが、特に持続的なかゆみは耐え難いものだと思います。
私の二人の子供も湿疹やかゆみで夜は寝つけなかったり、出血するまで掻きむしってしまったり、皮膚疾患と闘っています。
少しずつ大きくなってくるにつれて症状は緩和してきている気がしますが、掻きむしっているのを見るのは苦しいものです。
アトピー性皮膚炎の患者数は、年々増加傾向にあることが報告されていますし、重症の患者さんは肉体的にも精神的にも負担が大きいと思いますから、効果のある治療薬の一つになってくれればいいなと思います。
期待される研究
アメリカの国立アレルギー・感染症研究所では健康な人の皮膚の常在菌を移植する治療の臨床試験を行っており、この細菌を添加した水溶液を噴霧すると成人患者10人のうち6人、小児患者の5人中4人で、皮疹などの症状が50%以上軽くなったそうです。
副作用や合併症の報告も今のところなく、試験終了後にステロイドの塗り薬の量を減らしたケースも報告されています。
皮膚の常在菌のバランスを整える新しい治療法を開発して、皮膚疾患で苦しんでいる人たちを助ける可能性のあるこちらの研究も期待大です。